「空手の型」と「ヨーガのポーズ」の共通点

投稿日:2017年12月31日 | 最終更新日: 2020年10月10日

「空手の型」と「ヨガのポーズ」には、たくさんの共通点があると思っています。

空手の型

今野敏さんの『チャンミーグヮー』『武士マチムラ』を読みました。

    

今野さんは作家であると同時に、空手道「今野塾」を主宰する武道家。
『義珍の拳』『武士猿』『チャンミーグヮー』、最新刊『武士マチムラ』と続く琉球空手シリーズは、今野さんのライフワークの一つです。

武道は大好きです。小学校から高校まで柔道部でした。ブルース・リーの影響で大学時代の2年間は少林寺拳法部

『チャンミーグヮー』の中で、空手の型を練習する場面が何度か出てきます。
師匠からは、単に身体の動かし方の指導だけでなく、口伝でコツが伝えられます。

「この型は、体を上下に分けるための訓練でもある」
「この型は、体を左右に分けるためのもの」・・・。

最初は師匠の言う意味がわからなくとも、型の練習を繰り返しているうちに、ある時ふと悟ることができる。
例えば・・・「背中に壁ができたような感じがしました」と。
それに対して師匠は「それでいい。では次の段階に進もう」と。
まさに禅問答。師弟の間でしか理解できない。第三者にはわからない。

漫然と型を繰り返しているだけでは、この境地には至らない。
自分の動きを観察し、体を通して意味を考え、理解し、繰り返し、そして、ある閾値(しきいち)を超えた時、自覚できる。
悟ることができる。

ヨーガのポーズ

一方、ヨーガのアーサナ(ポーズ)の場合。
それぞれのポーズごとに、コツがある。
どこに力を入れて、どこの力を抜くか。
どこを縮めてどこを伸ばし、どこを捻るか。
すると、どこに刺激が入って、目的とする効果がもたらされる。
しかし、ここに力が入ってしまうと、逆効果になる・・・。
気を抜いたり考え事をしていると、完成形が崩れて行く。
これら一連の動作を同時に行うのがアーサナ。
単にアクロバティックなパフォーマンスをやっているわけではない。意味がある。

私のヨーガの師匠(紙や まさみ)は、独特の表現でコツを伝える

「五本貫通、前後で束ねる」
「背骨、ストローのプッチン」
「瓶を持つ手、蓋を持つ手」
「足先バレリーナ」・・・。

言葉だけ聞いても理解できないだろう。
でも、重要な意味が隠されている。
これが口伝というものだと思う。

ボーッと練習していては、効果はない。
体を観察し、部位をそれぞれ別物として感じながら、指示通りにできているかどうか、自分でチェックする。
側から見ていてもよくわからない。
でも、師匠にはわかる。
「これだと腰椎3番が痛いでしょ? 間違っていますよ」と。

空手の型の練習と、ヨーガのアーサナの練習。
本質的に共通点が多いと思います。
どちらも、ぼんやり繰り返していては進歩しない。
意識的に、自覚的に、体で意味を考えながら、体で体得する。
体で悟る。

マインドフルネス瞑想、ヴィパッサナー瞑想とも共通します。

「無意識の瞬間のないのが、究極のヨーガです」
「常に意識的な自分であるために、からだで練習する」

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