ユーザー・イリュージョン と インスピレーション

投稿日:2012年6月8日 | 最終更新日: 2020年10月23日

「ホ・オポノポノ」のことを知ったのは、2008年の初夏。
ある情報誌の小さな記事でした。
読んですぐ、「これは本物だ!」と直感しました。
以来、ホ・オポノポノの探求を始めました。

ハワイの秘宝

もっと詳しく知りたいと思っていたら、『あなたを成功と富と健康に導く ハワイの秘宝(zero limits)』 (PHP研究所)が出版されました。
著者は、2007年に大ブームになった『ザ・シークレット』に登場する賢人の一人、ジョー・ビターリ博士。

この本の中で、ジョー・ビターリ博士は、ホ・オポノポノの伝道師イハレアカラ・ヒューレン博士から、『ユーザー・イリュージョン(意識という幻想)』(紀伊国屋書店)という本を読むようにと言われた、と書かれていました。むさぼるように読んだ、とのこと。

注文しました。手元に届いたのは2008年の年末。

デンマークのトール・ノーレットランダーシュという科学評論家の書いた、日本語版で500ページを超える大著。
本書の帯には、次のような推薦文が載っていました。

「心という、科学に残された一大フロンティアを探検する、魅力的で勇猛果敢なガイドだ」
「意識についての書物をただ一冊だけ読むとすれば、本書をおいてほかにない」

分厚いし難解でした。読み終わるのにずいぶん時間がかかりました。
まだ理解できていない部分もたくさんあります。

“100万分の1” しか意識に上らない

「1965年、キール大学創立300周年記念講演で、ドイツの生理学者ディートリヒ・とリンカーは、意識の容量を測定したさまざまな数値を便利な一般則に要約した。人間の脳には、意識が知覚する情報の100万倍の情報が入ってくる、というのがそれだ。リンカーは次のように述べている。
『我々の感覚器官から脳に常時流れ込んでくる情報のうち、意識に上るのはほんの一部だ。知覚作用と統覚作用の比率は、よくて100万対1である。すなわち、我々の目が見、耳が聞き、その他の感覚器官が伝える情報の100万分の1だけが、意識に現れる』」

本書では、さまざまな実験結果が数値をもとに示されています。
顕在意識は氷山の一角、1割程度にしか過ぎない、と言われていますが、1割どころではない。たったの100万分の1。後は潜在意識なのです。
人間はいかに無意識で生きているのか・・・。

“0.5秒” の遅れ

1965年、ドイツの神経生理学者ハンス・H・コンフーバーが、「『自発的』事象に先立つ神経系内の生体電気現象」という博士論文を発表しました。
神経細胞は電気によって活動していると言われています。神経細胞、ニューロンの状態は、細胞膜の内と外の電位差によって決まり、ニューロンが刺激されると電位が変化し、さらにはシナプスを経て他のニューロンに達します。
人間が、たとえば指を動かすという自発的運動を行う時、その動作に先立って、ニューロンには電位の変化が表れます。コンフーバーの実験によれば、電位の変化が表れ始めて〔準備電位〕から実際の動作が行われるまでに、平均して「1秒」の時間がかかっているとのことでした。

その後、カルフォルニア大学のベンジャミン・リスベット教授は、準備電位から実動までの間隔が1秒というのは日常生活の実体験に比べるときわめておかしいと感じ、研究を始めました。
「私たちが動作を決意してから実行するまで1秒もかかりはしない。絶対にかからない。1秒は非常に長い」
さまざまな実験の結果は次のようなものでした。

「〔準備電位〕が動作の0.55秒前に現れ始めたのに対し、意識が始動したのは行為の0.20秒前だった。したがって、決意の意識は、〔準備電位〕の発生から0.35秒遅れて生じることになる。言い換えれば脳の起動後0.35秒が経過してから、決意をする意識的経験が起きたわけだ。
数字を丸めれば、自発的行為を実行しようとする意図を意識するのは、脳がその決定を実行し始めてから0.5秒たった後という結論になる。」

行動の前に意図があるのはわかります。
しかし実験によれば、意図する前に、すでに脳は起動しているのです。
もしこの結果が事実だとしたら、私たちには一切の「自由意志」が無いことになってしまいます。
そして、いったい誰が、何ものが、脳を起動させているのでしょうか?

この実験結果の解釈には、さまざまな反論があるようです。
しかし、事実は事実として認められているようです。

「ホ・オポノポノ」とインスピレーション

私たちは、無意識からの情動や衝動、情報や記憶に基づいて、思考させられ、動かされています。
一時的な感情に突き動かされて思わず反応してしまうことも多々あります。
カッとなって思わず怒鳴ってしまって、後から後悔することもしばしばです。
あるいは、考え方を変えようと思っても、自分の意志ではどうにもならないこととか。

しかし、考え直してみれば、〔準備電位〕が現れてから決意するまでの「0.5秒」の間に、その内容を変更できる可能性もあるのではないでしょうか?
無意識からの情動にそのまま反応するか、それとも流れを変えるか――そこに「自由意志」の入り込む余地があるのではないか?

「0.5秒」の間に、湧いてきた情動に気づき、どうするかの判断をする。そのまま行動するのか、それとも、行動を変えるか。
「0.5秒」です。「あっ」という間もありません。瞬間です。
「0.5秒」の間に「自由意志」を割り込ませる!

脳の始動 ⇒(0.5秒)⇒ 意識の決意 ⇒ 行動
脳の指導 ⇒ 自由意志 ⇒ 意識の決意 ⇒ 行動

まずは「気づく」ことが必要です。気づかなければ、流れは変わりません。
「あ、いま、私は、情動に突き動かされて決意しようとしている・・・」

気づいたあと、どうするか。
ホ・オポノポノでは、「クリーニング」を行います。
湧き上がってきた情動をクリーニング。
手放します。I let go! リリース。解放します。

クリーニングしたらどうなるか。――ゼロの状態になる。
そのとき――インスピレーションが下りてくる。

ホ・オポノポノでは、私たちが自分の思考だと思っているものは、「記憶の再生」と「インスピレーション」――この2つのどちらかである、と考えています。その2つ以外のものは存在しない。
そして、「記憶の再生」から自由になり、「インスピレーション」だけで生きていくことが、本来の私たちの姿である。そのために「クリーニング」を行なう。

「記憶の再生」をストップし、クリーニングしてゼロの状態になれば、自ずから「インスピレーション」が現れてくる。

0.5秒の間に自由意志を割り込ませる・・・間に合わないかもしれません。
でも、行動したあと、反省することはできます。
「しまった。でも、次に同じようなことが起きたら、別の選択をしよう」と。
決意し、練習するしかありません。実際、ホ・オポノポノでは24時間クリーニングを実践します。
ヒューレン博士は、「私たちの生きる目的は、クリーニングすること」とまで言い切っています。

刺激と反応の間に(7つの習慣)

ここまで書いて、思い出しました。
スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』キングベアー出版(1996年)に、同じような記述がありました。

「第1の習慣:主体的である (Habit 1 Be Proactive)」の中で、コヴィー博士は次のように説いています。

「刺激と反応の間にはスペースがあり、そのスペースをどう生かすかが、私たちの成長と幸福の鍵を握っている。」

私たちは(パブロフの犬のように)「刺激 ⇒ 反応」という条件反射だけで生きているわけではない。刺激と反応の間にはスペースがあり、そこに「選択の自由」がある。何を選択するかによって、その人の将来が変わってくる。

刺激 ⇒ 反応
刺激 ⇒ 選択の自由 ⇒ 反応

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