「七帝柔道記」・・・泣いた! 笑った! 感動した!

投稿日:2013年9月4日 | 最終更新日: 2020年11月15日

泣いた! 笑った! 感動した! 震えた!
熱い! そして、哀しい・・・。

『七帝柔道記』

著 者:増田俊也 単行本:580ページ(文庫本:640ページ)
出版社:角川書店 発売日:2013/3/1

一気に読み切りました。
今年、一番、最高に感動した本です。

七帝というのは、旧帝国大学で、七校あるので七帝。北から、北大、東北大、東大、名大、京大、阪大、九大。
七帝柔道というのは、講道館ルールや国際ルールとは異なる、高専柔道と言われる寝技を主体とした独自のルールで行われているもので、明治・大正から連綿と続いているものです。
本書の冒頭の扉には、井上靖の「清秋放浪」から引用した次の文章を載せています。高専柔道を一言で言うと・・・

「私たちは練習量がすべてを決定する柔道を作り出そうとしていたのである。」
                      ーー「青春放浪」井上靖

著者の増田俊也さん自身、北大柔道部の出身であり、本書は彼の自伝的青春小説です。
増田さんのブログ:増田俊也の憂鬱なジャンクテクスト|公式ブログ

本書の舞台となっている北海道大学は、私の母校でもあります。私は少林寺拳法部に2年間在籍していました。北大の武道館では、一階が空手部と少林寺拳法部で、二階が剣道部と柔道部でした。しかし、二階の柔道部がこんなに過酷な練習をしていたなんて、まったく知りませんでした。
私は高校までは柔道部に所属していましたが、一浪している間にブルース・リーの「燃えよドラゴン」に影響され、打撃系のスポーツに憧れるようになり、少林寺拳法部に入ったため、柔道のことはまったく眼中になかったのです。
少林寺拳法部に入ったのは、比較的練習が楽そうに思えたからです(情けない)。ところがどっこい、寒い最中、雪の上を裸足でランニングするなど、いまから考えれば酷な練習でした。それでも、柔道部に比べれば、100分の1くらいの練習量だったと思います。

本書に出てくる住所や、飲み屋の名前とか、大学の様子など、すべて私がいた頃の生活圏の話です。よく覚えています。本書は私より10年くらい後の話ですが、変わっていなかったです。懐かしい。自分の学生時代と重ね合わせながら、恥ずかしい思い出や情けない思い出を噛み締めながら、読みました。
しかし、本書は、柔道のことは全く知らなくても、札幌のことを何も知らなくても、男性でも女性でも、年齢にも関係なく、みなさん共感できる青春像ではないかと思います。
ちなみに、旭山動物園の前園長、小菅正夫さんも、北大柔道部の出身だそうです。

https://youtube.com/watch?v=VjKI5L9iH7M
【角川書店のプロモーション】

角川書店のプロモーション【熱闘編】

角川書店のプロモーション【泣きながら編】

井上靖の『北の海』は、高専柔道がテーマです。高校生の頃読んで、硬派の「バンカラ」に憧れました。 『北の海』は『しろばんば』『夏草冬涛』から続く井上靖の自伝的青春小説。

同じ増田俊也さんの著『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』。
読みました。久しぶりに、格闘技の熱に浮かされてしまいました。興奮醒めやらぬ。

♪ 明治45年度寮歌「都ぞ弥生」♪
都ぞ弥生の雲紫に 花の香漂ふ宴遊(うたげ)の筵(むしろ)
尽きせぬ奢に濃き紅や その春暮ては移らふ色の
夢こそ一時青き繁みに 燃えなん我胸想ひを載せて
星影冴かに光れる北を 人の世の 清き国ぞとあこがれぬ
(以下、略。5番まであります)

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